「光」 と「色」の話

虹を見たこと有りますよね。輪の内側が紫で、外に行くに従って藍、青、緑、黄、橙、そして一番外側が赤。綺麗な七色に見えます。で、ご存知と思いますが、あの色の順番って絶対に変らないです。減ったり増えたりもしないし。それに、白や黒は入ってない…。それは何故か?まずは光と色のお話を…。

光と電波は兄弟?
「光」って、実は電磁波の一種だってご存知ですか? 電磁波の正式名称は「電磁放射線」。磁場のあるところに電流が通ると発生するというワケのわからんものなのですが、この電磁波、いろんな種類があります。テレビ・FM・ラジオの電波や無線、電子レンジ、家電製品から漏れるもの、携帯電話の電波、レーダー、レントゲン線(X線のこと)、そしてガンマ線(放射能の一つ)…。で、光もそのひとつです。みんな同じ電磁波。そうです、私たちの周りは本当に電磁波だらけです。
じゃ、これらは何が違うか、といいますと、「波長」と呼ばれる波形(“~”みたいにぐにゃっとしている波の形)1つ分の長さが違うんです。この波長が大きく違うと同じ電磁波でもその種類と働きは全然違います。

電磁波の種類と波長の長さ

電磁波の種類 波長の長さ
高圧送電線の周りの電磁波 100km以上(!)
AMラジオの電波 約300~400m
テレビの電波 約2~3m
携帯電話の電波 40~50cm
電子レンジ 7~8cm
レーダーの電波 1~5mm
赤外線 0.78~約100μm
光(可視光線) 380~780nm
紫外線 約100~380nm
レントゲン線、ガンマ線 0.1nm以下

※1mm=1,000μm(マイクロメートル、ミクロン) =1,000,000nm(ナノメートル)

 

上の表のように、レーダー用電波とレントゲン線との間に「光」があります。難しく言うと可視光線っていいまして、380nm~780nmの波長の電磁波を指します。要は、波長が0.1nmより短いものから100kmみたいにとてつもなく長いものまでの気が遠くなるような沢山の種類の電磁波の中で、ほんの400nm分の波長域にいる可視光線だけしか人間の目には見えないんです。それでもこんなに色彩豊か! どこかの星に、電波の波長域が見れる宇宙人がいて、もし彼らが東京のど真ん中にUFOで降りたら、縦横無尽に走る電波の反射でさぞ華やかな色とりどりの街に見えるでしょう。でも明るすぎて嫌かも。

この可視光線は、波長の長さによって私たち人間にとっての“見え方”が違います。この違いが「色」なんです。下の図のように、短い波長380nmが紫に見え、そこから波長が長くなるにしたがって藍、青と見え方が変わっていきます。これが虹の色と同じ。波長が長くなるに連れて緑、黄に見え、最も長い780nmが赤でおしまい。ちなみに、380nmより短い波長の「光」は紫の外にあるから紫外線、780nmより長い波長の「光」は、赤の外にあるから赤外線と言います。遠赤外線は更に波長が長くて赤から遠いところにある赤外線のこと。安直なネーミングですね。もちろん、紫外線も赤外線も肉眼では確認できません。で、なんとありがたいことに、遠く1億5000万kmのかなたからやってくる太陽の光は、この全ての色を含んで「太陽光線」として私たちの地球に絶え間なくやってきて、時には空気中の水滴による光の屈折差のいたずらで雨上がりの空に虹を見せてくれたりしてるわけです。


「光」が目から入って、脳が「色」を作ってる?
では、その「光」と「色」って、どういう流れで私たちが認識するのでしょうか?
公園にぽつんと置かれた青いボールと、台所の中華なべの下でゴオゴオ燃えている青い炎。この二つを例にとってみましょう。これ、両方とも「青」ですが、私たちが「青」だと認識する道筋が少々違います。それぞれの見え方を説明しますと・・・

●青いボール
1.まずいろいろな波長の「光」を含んだ太陽光線がボールにあたる。
2.ボールの表面で、波長が400nmあたりの光以外を全て吸収してしまう(そういう染料が表面に塗られていたのです)。
3.吸収されなかった400nmあたりの光だけがボール表面を反射して私たちの目に届く。
4.「目」から400nmの光が届いたことが脳に伝わり、脳は、「400nmの光だから、青!」(上の虹画像参照)として、「青」を認識する。

●青い炎
1.コンロのガスと空気中の酸素が激しく反応(燃焼)し、二酸化炭素と水蒸気に変る。
2.その化学反応のおまけに出てくるエネルギーのひとつとして電磁波が出てくる。
3.おまけ電磁波がたまたま400nmで、その光が私たちの目に届く。
4.「目」から400nmの光が届いたことが脳に伝わり、脳は、「400nmの光だから、青!」(上の虹画像参照)として、「青」を認識する。

簡単に言えば反射して見える光(反射光)と自分で発している光(自発光)の違いです。青いボールは真っ暗な部屋では見えませんが台所のコンロの炎は真っ暗でも見えますよね、当たり前ですが。

ですが、どちらも、或る波長の「光」が目に入ってくるのは同じですね。そして、目にはいった光の波長がどのくらいなのかによって、脳が「色」をつくるのです。
「光」というたんなる電磁波のエネルギーが目を通して脳に刺激をあてるのことで、その刺激から脳が「色」というふくよかな“作品”を創作してる、とも言えますね。

なお、蛇足ですが、炎はいつも青とは限りません。これは燃焼のエネルギーの大きさ、すなわち燃焼温度と関係してまして、高温で燃えると青、温度が低くなるにつれて黄~橙に炎の色が変わります。アルコールランプの黄色い炎よりガスバーナーの青い炎の方が温度が高いわけです。

スーパーの精肉売り場の肉が美味しそうに見える理由
さて、周りを見渡すとお分かりですが、私たちが普段認識している色というのは、先の青いボールのような、反射光による色彩が圧倒的に多いんです。赤い紙というのは、光の中から赤以外の波長の光を紙の表面が吸収してしまっていますし、黒い塗料で塗られた机はほとんどの波長の光を吸収して私たちの目に反射光が入らないから真っ黒に見える。逆に白い壁なら、光をほとんど吸収せず全部反射してしまって、白く見えるんですね。グレーはというと、太陽光のどの色もわけ隔てなく一様に吸収します。この吸収の度合いが大きければ黒に近いグレー、小さければ白に近づくのです。ちなみに、吸収された光のエネルギーは大抵が熱に変ってしまいます。太陽の下で黒服を着てると暑いのはこのためです。

この反射光というのが少々やっかいものでして、光源によって見える色が左右されてしまいます。太陽のような、400nm付近の紫から700nmの赤までまんべん無くいろんな色が入ってる光源なら良いのですが、世の中そんな都合のいい光源ってそう無いんです。例えば白熱電球は圧倒的に黄~赤の波長が多い光ですし、蛍光灯は一般的に青~緑味が強いです。
だから、白熱電球の下に無塗装の木工細工を置くと黄色味の木肌がとても映えて見えますが、蛍光灯の下では黄は青の補色のため、蛍光灯の青味で木工品はくすんだ彩度のないものに見えてしまいます。逆に花屋さんは植物の葉の緑を鮮やかに見せるために、お店の光は必ず蛍光灯を使います。

こんな風に光源によってその色目が左右されることを「演色」と言います。この演色というのは都合が悪いことばかりでなく、逆に商売の為にいたる所で利用されています。有名なのはスーパーの精肉売り場。最近は蛍光灯もいろいろ研究され、赤い波長が多く含まれている蛍光灯もありまして、そういう蛍光灯で挽肉なんかを照らしますと、肉が赤々と見えていかにも新鮮でおいしそう。でも、これを買って家の台所の普通の青~緑味が強い蛍光灯の下で見ると、「あれ、この肉こんなに古そうだったかしら…」。こんな経験ありませんか?
また、演色の例としてはちょっと特殊ですが、トンネルや高速道路の照明。最近はLEDが多くなりましたが、以前はオレンジ色の照明、ナトリウム灯が良く使われていましたよね。あの灯の下を通ってると、車の中のモノが全部同じ、暗いオレンジ色に見えますよね。ナトリウム灯というのは589nmの波長光だけの単色光源でして、どんなものも、あの灯の下では589nmの波長の色にしか見えないんです。ちなみに、なんでそんなややっこしい灯を使ってるかというと、どうも単色光源というのは、むちゃくちゃ球の寿命が長いそうです。道路公団さんの省エネの一環だったようですね。

この、光と色のお話しはいろいろ話題がつきません。例えば反射光でも先ほどのメカニズムとは少し違う「蛍光」なんてのもありますし、私たちの目が認識している光は実は三種類しかないとか・・・。
またどこかでちゃんとお話ししますね。

 

tezomeya

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