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みかん染め
色と染料

みかん染め

去年からちょっと変わった染色の依頼を受けておりました「みかん染め」がやっと出来上がりました。

店主の実家は三重県の熊野市なのですが、郷里の身内先から
「みかんで染めたものを商品化できないか?」
というご相談が。

紀伊半島南部はみかんの産地です。ウチの田舎もご多分に漏れずまぁみかんが美味しい土地でして、地元の人間は年中その季節のみかんを頂きます。

そういった一大産地では、形が少しいびつだったり熟し過ぎたり、または摘果されたりなどして流通には載せられないみかんたちが大勢います。そのままだとそれらのみかんは産業廃棄物になってしまいます。

そのかわいそうなみかんの実を乾燥させて粉にして再利用できないか、という試みがウチの地元でありまして、その利用方法の一つとして「みかん染め」の検討の依頼を頂いたわけです。

みかんの中のメインな色素は、クリプトキサンンチンをはじめとした水に溶けにくい黄色色素。
これ、ふつうでは色濃く染色することができません。

そこで、いろいろ試し染めが始まりました。

ペーハーを少しずつ変えて染液作ったり

そしてそれをビーカー染めしてみたり

アパレルにお勤めのみなさん、最初の色だしの為の「ビーカー染め」って、ホントにビーカーで染めるんですよ。今の染工場はあんまりそんなことしないみたいですけど。

まぁ試し染というよりもただの実験ですが。

で、いろいろ試してみるうちに、当初の予想通り焚き出すよりも酒精(エタノール)抽出のほうがずっと色を頂けることがわかり、最適ペーハーも一応わかって、やっと先日から本番染めです。

みかんの粉をエタノールに入れて、数回にわけてこんな感じでちまちまとスターラーで撹拌しながら抽出します。

で、染めて(画像取り忘れ)・・・・

できあがりです!

すごい濃い色じゃないけど、まぁ優しいクリーム色の絹ストールが仕上がりました。
ほっと胸撫でおろし。

これと同じタイミングで、那智黒石媒染の実験も一緒にしていたのですが、またそれは別の機会に・・・。

 

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3件のコメント

    1. お返事遅くなってしまいすみません。
      あまり濃い色目ではないですが、染まることは染まりました【^^】

  1. 夏みかんの木の若葉で緑を染めたのは前に報告しましたが、実のほうは忘れていました。実のほうは朝のフルーツの時に蜂蜜かけて食べるのですが、皮のほうは砂糖で煮詰めてグラニュー糖でまぶしてお菓子にします。これ山口県のほうの萩の名物でしたよね。夏みかんを食べるたびに皮だけためておいて、少したまった時に、まず鬼皮、表面の堅い黄色いところをピーラーでとって、完全にとらなくてもいいのですが、これがあると苦みが強いのです。白い部分だけでなく、少しは鬼皮の黄色いところも残っていたほうが、程よい苦みが残って美味しいのです。次に水で煮て20分くらい、3回くらい煮こぼします。これで苦味がほどよくなります。このあと砂糖をたっぷり入れて煮詰めて、十分に煮詰まったところでグラニュー糖をまぶして出来上がりです。勘どころは、煮詰めるのが足りないとグラニュー糖がベチョベチョになってしまうので、焦げ付かないように慎重に煮詰めて十分に水分を飛ばすことです。これで砂糖菓子は美味しく出来上がりますが、今までは皮を煮こぼしたときにゆで汁を捨てていたのでしたが、このゆで汁で染めてみました。夏みかんの色素は水溶性ではないともいうのですが、まずは今まで捨てていた皮の染色液らしきもので試しです。テストピースで焼明礬の後媒染で、第1から第4染液まで染めて、どれもうっすらとレモンイエローに染まりました。次に第1から第4染液まで混合して、媒染剤ごとに、Cu,Al.Sn,Ni,Cr,Ti,B,Feでテストピースを染めてみて、Feだけはくすんだ色でしたが、あとはみなレモンイエローでした。今までに黄色はクチナシ、キハダ、ウコン、ターメリック、カレー粉、えんじゅ、サフランなど染めたことがありましたが、えんじゅとサフランだけが優雅な黄色で、後は黄色が濃すぎてちょっと品のない感じだったのです。でも今回はうっすらとしたレモンニイエローで、欲を言えばもう少し濃くてもいいなと感じています。そこで、次は皮の白い部分は食用オンリーとして使わないで、鬼皮だけ集めてアルコール抽出でやってみたいと思っています。今食べている夏みかんではたまるのにちょっと日がかかりそうで、追ってご報告というところですす。

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