tezomeya ブログ
正倉院展
に行ってきました。こないだの水曜日。
毎年この時期にだいたい2週間くらいの期間で開催されるこのイベント、
4年前から必ず観に行ってるんですけど、今年も凄かったっす。
だってね、1200年前のものですヨ。
1200年前に染められた色や塗られた漆やくり貫かれた木工品や打ち出された銀なんかがちゃんと残ってるんですよ。
すごい、信じられない。
寺町界隈や弘法さん(東寺のがらくた市)なんかで「これは江戸時代の古布で・・・」なんて売られてるモノとはその年季が違いますもん。
どんなにストイックで神経質で丁寧で膨大な作業をしていたんだろう、と思いながら作品を観てるとホントいちいちトリハダが立ちます。
で、今年も大コーフンの2時間を番頭と一緒に味わってきたんですけど、
中でもとんでもなくびっくりしたのが
「七条刺納樹皮色袈裟」っていう袈裟。
聖武天皇が法事に着用する袈裟で、他にもいくつも袈裟があるらしいんですけど、
これ、もう、びっくり。
まずね、赤、青、黄、緑、茶の多色に彩色された(これはおそらく顔料)平絹をバラバラにしてくっつけてるんですよ。まぁ、細かい裂をつなぐのは袈裟の常套手段だからこれはいいとして、その平絹が袷(あわせ)になってて、その2枚の全面を全部すんごい細かい縫い目で刺し合せてるんです。普通の刺子の五分の一くらいの細かさ!
なんかね、ブツブツに見えるんですよ。で、その感じといろいろな色が合わさってる雰囲気が樹皮に見えるから「樹皮色」っていうんですって。
色が結構残ってて、その柄っていうか雰囲気がポストモダンにオシャレだったのにびっくりだし、平絹がぜい化せずに残ってるのもびっくりだし、袷の刺し糸が強迫観念的に細かすぎるのにもびっくり。またその刺し糸が細い細い。全身トリハダ立ちました。
あぁ、オレっていい加減な仕事してるな、って。
そう思いました。
これみて。
いや、白状しますとどの遺品を見ても常に必ず反省してました。
今回の反省回数計63回(笑)。
またこれを入れてる漆皮の箱がスゴイ。
全然革がわれてないんですよ。もちろん漆も割れもせずはがれもせず。漆黒に光ってました。
これって、執拗なまでにしっかりなめされて変化しない革とやはり変化せず
じっくり塗られた漆でないとこんなにちゃんと残らないはず。だって1200年だもん。
しかもしかもその箱を包んでるのがまた絹の臈纈(ろうけち、蜜蝋を使ったローケツ染めみたいなやつ)の藍染めの生地。しっかりきれいな緑と青が残ってました。
なんで、そんな箱や包み生地にまで・・・、もういいじゃん、そこまでしなくても、
って思う凡人な私たちでございました。
ためいき。
そして、すげぇぇぇ。
今年はボクが見に行くようになって初めて国家珍宝帳が出ててこれも面白かった。
ま、言えば宝物のリストですね。
どんなものがどうやって作られて誰によって寄進されたのか、っていうのが書いてあるリストです。
これがあるから「あ、そういう染めなんだ」とかいうのがわかる。
この1200年前の目録と遺品がちゃんとリンクして現存してるのが正倉院宝物のすごいとこらしい。
世界にも例がないらしいですよ。
さぞかし細かくて重箱の隅をつつくようなお役人さんがこの奈良時代にもいらっしゃったんでしょう。ありがとうございますです、ほんと。
いやすごかった。
来年もいこっと。
しかし、今年は来展人数もすごかったらしいですね。
初めて並んだもの、入るのに。
雅子さまとかがきたからかな・・・。
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