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ブラジルウッド
みなさん、ブラジルウッドってご存知です?
マレーシアとかフィリピンにある有名な蘇芳(すおう)とほとんど同じ種類のマメ科の木です。
大航海時代に中南米からポルトガルやスペインを通じてヨーロッパにどしどし運ばれて、ブラジルの国名の由来にもなった染色用の木です。
ポルトガル語の“brasa”って言葉が『燃えるような赤』って意味らしくて、その燃えるような赤が染まる木なのでちょっと言葉が変化して英語っぽく(?)“brasil”って名前になって、そのブラジルがたくさん映えてる土地だから『ブラジル』って地名になったらしいです。
現地の名前は「ペルナンブコ」もしくは「フェルナンブコ」。ブラジルにはこの名前の州もあるらしくてややこしいです。
で、昔から染料に使われてて乱伐されて木が凄く少なくなってきた、って話を聞いたことがあるんですけど、この木がひょんな所から手に入ったんですよ。
ペルナンブコって、バイオリン属の弓を作るための最高級材らしいんです。
で、世界でも活躍されてるチェリストの林裕さんという方が、弓の材料に使うペルナンブコは昔染色に使われていた、という情報を仕入れて、果たしてどんな色になるんだろう、と、ウチの工房に持ち込んでくれたんです。
染色やってる僕らから見ると「え、ブラジルウッドで楽器!?」なんだけど、
音楽家さんからは「え、ペルナンブコって染めも出来るの!?」なんですよね。
ちょっとフィールドが変わると本当に知識って全然違います。
林さんとそんな話をしながらペルナンブコで染めたんですけど、これがもうすんごい赤!
蘇芳よりも若干赤味が強い位。
理論的には蘇芳とペルナンブコとは主要な色素は同じブラジレインというものなので同じ色になるはずなんだけど、もちろんそこは植物のことなので色は変ります。個人的には蘇芳よりもインパクトある赤で好きです。
このペルナンブコ材、林さんのご紹介のおかげで名古屋にある有名な楽器工房から分けて頂けることになって、嬉しいことに今大量に僕の手元にあります【^^】。うっしっし。
で、最近、この染料でいろいろ研究中。ブラジレインは日光に弱いしphの変化にも弱くてあんまり安定しない色だから実用的かどうかまだわかんないんですけど、その性質はログウッドの色素のヘマテインと凄くよく似てるから、うまいこと使えばオガTにつかえないかな、と。
で、画像がその試し染中のひとコマです。
ね、凄い色でしょ。
明日仕上ります。楽しみ楽しみ。
いい色になったらいいな、で、おちにくかったらいいな。
鉄で媒染したらもっと渋い紫系になるかな・・・。
うーん、たのしいっ!
良い色で使えそうだったらまたオガTの新色にしますね!
店主@手染メ屋
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