tezomeya ブログ
樂焼き
こないだの日曜日、樂美術館に行ってきた。
番頭が最近ちょっとだけお茶づいてきてて、
そのお供に。
そう、ボクはほんのお供のつもりだった。
樂焼きの本家である樂家の本物の茶碗が手にとって鑑賞できる、って言うイベントがあって、
それに番頭と参加するために。
で、本物の樂焼きを触らせてもらったわけだが、
これが、
すごかった。
お供のつもりがものすごいことになってしまった。
今から300年ほど前の六代左入作の赤茶碗と
当代である15代吉左衛門作の赤茶碗。
ボクは全然焼き物とか知らないけど、なんだっ!、これはっ!?、
って感じだった。
手で持つと、しっとりとする。
お茶は入ってないからあったかくはないんだけど、ひんやりとした感触がない。
これは温度とかのコトじゃない。
なんていうの?しっとり。
それしか思いつかなかった。
で、色が、これが、もう、はい。
赤樂茶椀は、赤土に透明の釉薬を塗るだけなのでそのまま土の色なんだそうだ。
でも、焼成温度でもちろん色が変わるし、赤茶碗二つとも違う赤、といか赭っぽい
色だけど、もう、枯れててふっくらした色で、うん。
多分、手に持ったときの感触にテコ入れしてる。色が。
したの丸みがね、えっちなの。ぽってりしてて。
両の手で持つと、えっちなの。もみもみしたらむにゅってなりそう。
なんて、コトバで説明してもうそ臭いですね。
触ってください。是非。
っていう、焼き物でした。
樂家には、代々の当主が焼いている焼き物がちゃーんと残ってて、
それを展示したりお茶会開いて実際に使ったり、
僕らが参加したみたいに触らせてくれるイベントをしたりという、
ものすごく貴重なことをしているのが、この樂美術館だった。
これは触ってまぢまぢ観たら、もう全然ちがいます。
学芸員の方がしきりにおっしゃっていたように、
茶碗は道具なので使ってこそ価値のあるものなんだ。
ガラス越しに観ててもわからない。
手に持たないとね。
そして、初めてちゃんとお茶碗を鑑賞させてもらったのが、この樂茶碗だったわけでして、
ボクはなんて運がいいんだろう、と涙さえ出てしまいそうな日でした。
やっぱり、超一流は違います。
で、いっつも思うんだけど、
何も知らないとか、子供だからとか、
そういう人にこそ超一流に触れることが大切なんだな、と。
多分ね、そこで、なにかピン、とくるわけ。
それまで一切気づかずにいた、もしくは全然持ってなかったセンサーみたいなものが、
突然体の中で動き出したり生まれたりするんだよ、きっと。
それが、センスになるんですよ、はい。
で、そのセンサーを呼び起こしてくれるものは、超一流のプロダクトなわけ。
昔、前田雨城先生の反物を観た時もそうだった。
さすがに、アタシは染色っていう果てのないナニモノかに両足突っ込んでるから
「よぉしっ!明日から土こねるぞぉ!」とは行かないけど、
多分、この本家の樂茶碗を触った瞬間に陶芸家を目指すようになっちゃった人って
少なからずいるんだろうな、と。
とにかく、すごい体験だった。
ありがとう、樂家の方々。
帰り道に番頭とぶらぶら歩きながら、宝くじ当たったら絶対樂茶碗買おうな、と
誓い合ったのでした(笑)。
この樂茶碗おさわりイベント、毎月第一土日に開催されてるみたいです。
来月も絶対行きます。
で、こういうホンモノのプロダクトを観ると、いっつも思うんだよね。
ウチって、ホントいい加減な仕事してるな、って・・・・。
いい。がんばる!
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