tezomeya ブログ
紫根染めワークショップ報告
ちょっと報告遅れましたが、
先週の2月28日(土)に、今年最初の「伝統色のワークショップ2009」を開催しました。
第一回は、椿の灰を使った紫染め。
紫っていうのは、ご存知の通り、とっても高貴な色なわけですね。
日本では昔っから、ムラサキっていう植物の根っこと椿の灰を使って何回も何回も染め重ねて
とても深くてキレイな紫色を平安の昔から、いや、飛鳥の昔から染め出していたそうなんですよ。
で、手染メ屋はその至高の紫をたった4時間のワークショップで染めてみよう、などという無謀な染め体験を企画したわけでございます。
もちろん、無理なんですよ、はい。
だって、平安時代の人たちは多分何十回も反物を染めては乾かして染めては乾かしてちょっとずつ濃くしていったらしいので。
それを、たった4時間でなんて、ムシが良すぎです。
だから、そのさわりだけでも体験いただこうと言うイベントだったのですが、
材料は、一応ちゃんと硬紫根と米酢と椿灰を用意しました。
今回のイベントが開催できた一番の理由は、この椿灰を手配できたからなんです!
椿灰、その名の通り椿を焼いた灰なんですけど、これ、通常の植物の灰に比べてアルミニウム含有量が高いんです。
昔の人は、他の灰と何かが違うことに気付いて、この椿灰だけは普通の灰とは使い方を分けてたんです。
普通の灰は、今で言うアルカリ液を作るためのもの。
でも、椿灰は、染色の媒染液をつくるためのもの。
そんな風に、平安時代の前から明確に分かれていたようです。
でも、今、この椿灰ってあんまり手軽に手に入らないんですよ。
昔は灰屋さんなんていう商売があったようなんですが、今はもちろんそんなお店はないし
(実は京都市内に1軒だけあるんですけど、そこには椿灰売ってないし)、
自分で椿集めて燃やすの大変だし、どこかにないかな、っていろいろ探してて・・、
みつけたんですっ!
大島ですっ!
伊豆大島って椿で有名らしくて、そこで椿の林を個人所有されている方が
ご自分の焼き物の釉薬に椿の灰を使っていらして、
それを希望の方にも分けてらっしゃるとても奇特な方がいらっしゃったですっ!
早速お電話したら、とても気さくにokしてくださって、すぐに送ってくれました。1kgの椿灰。
これです。
ちゃんと、燃やした日付も入ってるんですよ。このときは軽トラ1台分満杯に
椿を持ってきて、で、一度に燃やして、やっと9kgできたそう。
そのうちの1kgを頂いちゃいました。
渡辺さん、本当にありがとうございました!
そして、その椿灰を使いながら、紫根を熱湯でこねこね摺りながら染液を作ってみんなで染めましたとさ。
でも、ボクが写真撮るのすっかり忘れてて皆さんが作業されている風景がありません・・。すみませんですm(__)m。
今回はアルコールを使う、というズル(笑)をしました。
紫根に入っている「シコニン」っていう色素、実は水にほとんど溶けてくれないんですよ。
でも油にはとてもよく溶けてくれるので、脂溶性のものを溶かすエタノールを最後に少し使って色の揉み出しの仕上げをしました。
詳しいお話をお聞きになりたい方は是非また手染メ屋までお問い合わせください。
皆さん7名とも頑張ってくださったおかげで、色とりどりのキレイなストールが仕上がりました。
おんなじ分量でおんなじモノを染めても絶対皆さん色が違うんですよね。必ず個人差が出ます。
いっつもそうですけど、ホントおもしろいです。
・・・って画像がないです、すみませんm(__)m。
で、最後に、ボクが皆さんの残液でちまちま2日かけて染めたのがこれ。
十分染まりました、ハイ【^^】。
キレイです!
これは記念にとっておこっと。
次回は桜染めです。また是非皆さん遊びにいらしてくださいね!
店主@手染メ屋
https://www.tezomeya.com/