tezomeya ブログ
藍を科学する実験教室の報告
夏休み最後の週末、先週の土曜日は
手染メ屋の「公開実験教室」でした。
今回は「藍を科学しよう!」というお題目で
藍の生葉染めと沈殿藍を作るワークショップを開催。
沈殿藍も藍の生葉染めも大量のタデアイの葉っぱがないと出来ない作業なんですけど、
今回は元バイト君の阿部っちが徳島で藍畑をやっておられまして、
そこからたくさんたくさん新鮮で素晴しい藍を頂きました!
あべっちありがとう!おかげでとても有意義なイベントが出来ましたm(__)m。
さて、沈殿藍を作るには、前もってタデアイを水に浸け置き
しないといけません。
イベントの3日前にあべっちから大量に届いたタデアイ。
これを、おおきなバケツに入れて水を張ります。
こんな感じ。
で、これに重し(ウチは空いた植木鉢を使っています)を入れて
数日置いておくと、こんな感じで緑色の液ができます。
よく見ると水面にギラっと紺色になってるところがあるでしょ。
これ、インディゴです。でも、今この水の中には
インディゴになる前の物質、インディカンやインドキシルの状態で水に溶けています。
このインディカンやインドキシルってやつを、頑張ってインディゴにするのが
沈殿藍の作り方なんですね。
そしてワークショップ当日。
まずは生葉を使って絹ストールを染めてもらいました。
すみません、説明に忙しくて写真撮るの忘れました・・。
いつものことですが。
生葉染めをされた子とある方ならご存知かもですが
この染色は薄い青(すこぉし緑がかった)しか染まりません。
でも、この明るいコバルトブルーな色は生葉染め特有の色でして、
これが好きで生葉染めばかりされる方もいらっしゃいます。
ちなみに、生葉染めは綿はほとんど染まりません。
通常の藍染めだったら綿のほうが絹よりも濃く染まることが多いのですが、
生葉染めは全く違うんですね。
これは、生葉染めと通常の藍染めは全く似て非なるものだからなんですけど、
そんなことをご参加の皆様に少しだけ科学的に説明しながら、次の沈殿藍作りにgo!
3日前から水に浸けていた葉を取り除いて、緑がかった液体だけにして、
これに石灰を入れながら洗面器でひたすらかき混ぜます!
まぁ、かき混ぜるというよりも空気と混ぜるという感じです。
ちなみに画像ではわかりませんが、この液、予定よりも若干葉っぱが腐りかけていて
ニオイがだいぶきつかったです^_^;。
いわゆるドブのニオイ。
みなさん、くさかったですよねぇ。
ウチの工房も次の日曜日までニオイが取れませんでした。
話は戻って空気と緑の液体を混ぜ続けていると上の写真のように
暗い暗い紺色に泡と液が変わっていきます。
そしてにおいも少し変わります。
この色とニオイがインディゴのそれなんです。
40分ほど頑張ってかき混ぜて、泡が出なくなったらインディゴへ変化完了。
このインディゴに変わる反応は、いわゆる「酸化」というやつでして、
酸化させるために空気がたくさん必要だから液体と空気を混ぜ合わせて
いたんです。
泡と液の色がぐぐぐっっと紺色に変わるアタリで、参加の皆さんから
「うわぁ~!」
「すごぉ~い!」
と歓声があがりました。
嬉しかったです、えへへ♪
で、インディゴが完成したところで
お手軽に染色するために炭酸カリウムとハイドロサルファイトを入れて
液を「還元」させて皆さんで綿素材を染色。
残念ながら濃い色にはなりませんでしたが、薄めの藍染めアイテムが
8枚出来上がりました。
この藍染めって、酸化と還元を説明するのにとてもうってつけな染色なんですよね。
葉っぱからインディゴになってそれがまた染まるのも4段階ほど変化があって、
その内容はとても複雑なんですけど、全て理に適った化学反応なんです。
そのアタリをちょいちょいお話しながら、また例のごとく時間オーバーの6時過ぎに
イベント終了いたしました。
(お急ぎだったご参加の方々、申し訳有ませんでした)
いやぁ、楽しかったなぁ。
チョット余った沈殿藍の液体をコップに採っておいて
ちゃんと上澄み液を取って完全に乾かして出来た固体の沈殿藍がこれ。
ね、ちゃんと沈殿藍になってますよね。
ニオイはまだ取れてませんけど・・。
だいぶ不純物が多かったんだな。。。
沈殿藍やすくもとか、ちゃんと染料状態にするのって難しいです。
やっぱりこれはその道のプロにお任せするのが一番ですね。
でも、そのメカニズムを知っているか知らないかで、
その後の染色の段取りに影響が出てくるんですよ。多分。
そんな、「知っといたほうがいいよ」的知識をこれからも
微力ながらご紹介して行きたいと思います!
次回のワークショップは
9月23日「伝統色のワークショップ 深緋色染め」
です。茜と紫根を使った染色です。
詳細はまた後日アップいたしますね。
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