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tezomeya日記

宮古島にて ~その2

宮古での3日目。

今日は朝からシメバタ ~締機の現場を砂川猛さんに案内頂いて
いけま商店の池間さんと一緒に訪問する。

宮古上布っていうのは、

・苧麻の糸を手績みで作り
・琉球藍で糸染めをして
・絣で細かい柄を作り
・砧打ちなどで光沢を出す
薄い薄い生地のことだ。

沖縄県が決めている工芸品や重要無形文化財の
基準はもっと細かいことがいろいろあるんだろうが、
僕ら素人が認識すべき点はまぁこんな感じでいいだろう。

こんなの。

細かい柄が入ってるよね。
よく見ると、白い十字がたくさんあって
それが柄に見えてますよね。

この白い十字はもちろんプリントではありません。

織物のタテ糸とヨコ糸に、予め染めたくない白い部分を
糸なんかで括って染めて、ところどころ白い糸を作って
それを織って、柄にするんです。
そう。この場所にこの十字が来るように、計算されて
染めて織られてるんです!

こういうのを絣(かすり)って言って、イカットなんかも
こうやって作るし国内にもいろんな絣の織物はあるんだけど、
この宮古上布は大島紬と並んでその柄の細かさがすごい!

この十字、数ミリの大きさなんです。
タテの長さが14m、巾が40cmほどの着物生地で、
ミリ単位で柄が合う様にタテ糸とヨコ糸を並べて
織っていくんです!!

すごくない?すごいよね!!

そのためにいろんな特殊な技術があるわけで、
昨日見た砧打ちもその一つだし
今日見る締機(シメバタ)もその一つ。

・・・ということで連れてきていただいたのが
下地達雄さんの工房。

これが締機です。

なんとなく普通の機と似てるんだけど、
とっても長い!
全部写真に入りきってません。

ケンチョウまでの長さ、2M以上あったと思う。

この機には常に太くて強い綿の糸がタテ糸に
張られています。

で、宮古上布用の括りたいタテ糸もしくはヨコ糸を
きっつきつにヨコに入れる。

そして、織る。

そうすると、ダミーの綿のタテ糸と宮古上布用のヨコ糸が
重なったところが締められて、染めても藍の色が入らなく
なるんです。
予定している柄から計算して、どこにどうタテ糸とヨコ糸が
来たらいいかを考えながらこの締機で織る。

で、機からおろす。

そして、染める。

染めたのがこれ。

下にある白いマットみたいなのが染める前の締機上がりの
タテ糸です。

で、この染まったマットみたいな生地のたてよこをほどいて(!)
タテのダミーの綿糸は捨てて、ヨコになってた宮古上布用の
糸だけを織りに使うわけ。

そうなんです。
宮古上布は2回織るんですよ。

・・・うわぁ。。。

細かい説明は僕の表現不足のためご理解いただけないとしても
2回織らないといけないのはわかってもらえるでしょうか。

大変だよね・・・。

で、更に2回目の本織りが大変・・・。

どんなにかっちり締機で絣糸を染め上げても
織っているうちに絶対柄がずれてくるんです。

それ、どうするかというと、織ってるそばから
修正するんだって。

これ、修正してるの図

縫ってるんじゃないよ。
ヨコ糸やタテ糸を、針を使って
少しずつ動かしてるんです。

これを何十箇所もするみたい。

下地達雄さんのおばあがこの織りの達人でして
織りもこの修正も神業のようにされるみたい。

94歳のお元気なおばあでしたが恥ずかしがって
写真撮らせてもらえませんでした。

いやぁ、ホントすごい作業。

あの偏執的なまでの細かい絣柄は、
やっぱり驚異の手作業でなりたってるんだ。

ボクにはできない。
ちまちまTシャツ染めてるほうが何百倍もラクだ。

この後は織りに興味がおありの方のためのサービスショット。

まず、綜絖は糸綜絖でした。

でもね、京都の綴織りで使うような単純な糸綜絖
じゃなかった。よくわからんのだが、糸通し部が
とっても広い、不思議な糸構造。
よくわからなかった。間近で見ても。

これは、苧麻糸が切れやすくて引っかかり易いので
綜絖部を広く取ってるんだって。

筬も竹筬。

これも金筬だと切れやすいからだそう。
竹筬がほら、今大変なことになってるじゃないですか。
で、宮古でも金筬で挑戦してみたらしいんだけど
やっぱり使えないらしい。

なので昔からある竹筬を大事に大事に使ってるんだって。

他にも画像撮るの忘れたけど
チキリへのタテ糸巻き方向が逆だったり
絣用の糸をわざとたるませていたり
綜絖と筬を設置する溝が10個以上あったり
不思議な織り機でした。

どれもちゃんと理由があるんですよ。
またこれはいつかの機会に。

ところ変われば品変わり、道具も変わるわけですね。

織りは全然出来ないけど、こういうの見てるだけで楽しい。

その後は砂川さんとさよならして、池間さんとお昼ご飯に。

宮古に来たときからずっと気になってた
カフェ「茶音間(ちゃのま)」さん。

宮古島の北のほうで、すぐヨコが海。
絶景です。

ここのカレーはホント美味しいよ。って
会う人会う人に言われてたんで。

風と海がとっても気持ちよかったので
オープンカフェに陣取る。

池間さんタバコ吸ってるの図。

インドのチキンカレーをたのんだ。

おいしいっっ!!

カフェのカレーではない。
インド料理屋さんのちゃんとしたチキンカレーだっ!

スパイシーで濃厚で。
サフラン入り固めの米で。

トレイはアルミの鋳物。
打ち抜きじゃないよ。
ずっしりと重くて
使い込まれてて
すっごくオサレなカレートレイでした。

池間さんに聞くと、宮古島で美味しいカレーを
置くカフェが増えたのはこの茶音間さんが有名に
なったからだとか。

茶音間のチャーミングな奥様。

トークショーにもワークショップにも来てくださいました!
ちょっと草木染めもされているそう。
ありがとうございます!!

仕上げにマンゴープリンとローゼルのハーブティー。
プリンが濃厚で美味。ハーブティーは酸味が利いてて
プリンとバッチグーだったっす。

いやぁ、茶音間さん、ホントご馳走様でした。
こんな完成度の高いカレー屋さんが、
こんな絶景な場所に
ぽつねんとあるなんて。

すごいな。宮古島。

お腹いっぱいになったので、
しばし池間さんとドライブデート。

今回の旅行、池間さんとドライブデートがとっても
多かった。
何か間違いが起こってしまうのではないか、
と思うほど美しく素晴しい景色ばかり。

「男同士じゃね・・」
といいながら、とっても楽しかったわけだが(笑)。

これは池間島まで足を伸ばして、海をパチリ。

画像には取れなかったけど
この数メートル左で
若いカップルがいちゃいちゃしていた。

まだまだアツイ宮古島です。

もどってから次は、
染め織り作家の砂川美恵子さんのアトリエに。

ちなみに、砂川さんという苗字は宮古では
とてもメジャーな苗字の一つ。
砂川猛さんと砂川美恵子さんは全く
血のつながりはありません。
最初ボクも「え?」って思ったけど。

作品を拝見した。

美恵子さんは、宮古上布の作家さんではない。
多分。

宮古上布のような、細い細い糸を使った
細かい十字絣の柄や、藍染めと白だけの
織物はない。

タテヨコにかすかなムラがある藍染めの着尺や
藍だけではなく福木やコチニールなんかを使った
多色のストライプの生地たち。

これがね、いい色なんですよ。

拝見したこれまでのお仕事の生地サンプルの中でも
特に個人的に気に入ってしまったものを並べさせて
もらって、一応写真に撮ってみた。

美恵子さんすみません。
作品の素晴しさの10分の1も出てません・・・。

「家庭画報」や「美しいキモノ」などの名だたる雑誌にも
宮古島の上布の流れを汲む染織作家さんとして何度も
取り上げられている砂川美恵子さん。

色、ホントかわいいです。やられてしまった。

この感触は、志村ふくみさんの展示会に行った時に
感じた「やられたぁ・・」感と同じだった。

センスって、大事だな。
技術も大事だけど。

そう、思った。

俺もがんばんなきゃだ。

砂川美恵子さんは、なんと藍染めの元になる
ナンバンコマツナギ(マメ科の藍)をご自分の畑で
育てて、そして沈殿藍を作って、それで藍を建てて
染めてらっしゃる。

これが見せてもらった畑のナンバンコマツナギ。

元気にたくさん育ってた。

これは、今一番元気だった藍。

ホント元気だった。この藍。

砂川美恵子さん、貴重なお時間をありがとうございました。
ボクも砂川さんを見習って、力を抜いてもっと精進致します。

さて、この日は夜にワークショップが控えてた。

場所は、昨日もトークショーをさせてもらった
ブックカフェ ブレス。

ちょっと早めに行って準備をする。
オーナーの天久さんが椅子やレイアウトをアレンジしてくださり、
ずっとお世話になってる池間さんが大鍋を持ってきてくださり、
(池間さんは居酒屋も経営してるのだ!)
準備は万端。

京都から持ってきた紅花と染め下の手拭を参加者にお配りして
紅花染め体験のはじまりはじまり。

イワキリエミさんはじめ、主催者の池間さんと天久さんの
ご協力のおかげで定員オーバーのお申し込みがあって
急遽椅子を増やして23人での開催。

京都で予め柘榴で黄色に染めてきた手拭を紅花で染めて
ちょっとオレンジがかったピンクを染めてもらう。

いや、皆さん本当に熱心に体験してくださって
アタシもとっても楽しかったです♪

ご参加の方から、「沖縄にも多良間花って名前で紅花があるのよ」
なんてお話を伺ったりして(すみません、不勉強で知りませんでした・・)
かえっていろいろ教えていただいたりして、
ボクにとっても有意義なワークショップになった。

染め上がって、絞りの輪ゴムをとって
みんなで品評しあってるの図。

みなさん思い思いの柄ができてた。
色も違った。

いっつもそうだけど、必ず微妙にそれぞれ色目が違う。

おもしろい。

誰かがライトに乾かしてたみたい。

タイスケ君、ナイスショット!
ちなみに、このワークショップと昨日の
トークショーの写真は全て
キャンドルアーティストのタイスケ君

ありがとね♪

この後はブー績み保存会の糸績みに顔を出させていただいて
夜中の12時まで糸績みを勉強させていただいた。
あまりにはまってしまって画像がないけど・・。

なんて感じで、この日もむちゃくちゃ濃厚でした。

ありがとです。みなさま。

明日もよろしくですm(__)m。

Book Cafe “Breathe”
http://miyakojima-breathe.info/bookcafe/

いけま商店
http://ikemastore.ti-da.net/

feu wax(タイスケ君とユキさんのキャンドル)
http://feuwax.exblog.jp/

店主@手染メ屋
https://www.tezomeya.com/

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