tezomeya ブログ
猩々緋染めワークショップの報告
先週の土曜日は
「伝統色のワークショップ2010その2」
と題して、
猩々緋色の染めを皆さんと体験しました。
猩々緋とは、室町末期に活躍した
織田信長を筆頭に、多くの有力武将たちが
陣羽織に使っていた真っ赤な色目のことです。
この陣羽織の素材ってのが、当時は舶来モノの
毛織物(フェルトも含む)だったんですよね。
その昔、ヨーロッパの人たちはケルメスという
カイガラムシと黄色に染まる植物染料を用いて
この猩々緋を染めていました。
今は残念ながらこのケルメスが絶滅種ですので
同じくカイガラムシのラックを使って、
黄色にはクチナシを選んで、
皆で猩々緋に挑戦してみました!
そもそもこのイベントは、ブータンのラックを
寄付してくださった手染メ屋のお客様の加地さん
のお声かけで実現したのですが、その旨の
イベント内容をサイトで紹介したところ、
千葉のM.K.さんからもなんと
ブータンに行かれた際に手に入れた
ラックを戴きまして、大量のラックが
使えることに!
加地さん、M.K.さん、本当にありがとうございましたm(__)m。
これがラックカイガラムシです。
そして、こっちが黄色に染める染料に今回選んだ
クチナシです。
ラックだけで染めると、寒々しい青味のピンクに
染まります。
これと黄色を足しこんで、真っ赤に染める、という算段です。
ラックはそのまま煮るとベトベトになって
鍋に引っ付いてしまって大変なことになるので
不織布に入れて煮込みます。
クチナシは砕いてそのまま煮込みます。
そして、まずはクチナシで黄色に染めます。
その後で、ラックで染めます。
そうすると、こんな赤に。
皆さんの出来上がりの色目です。
と、画像で紹介するとあっという間ですが、ここまで4時間。
この4時間も、かなり作業を圧縮しての時間です。
本来ならば2~3日かかるところを大急ぎで染めました。
画像だとわかりにくいのですが、まだまだ本物の真っ赤な猩々緋には
遠い、暗いエンジ系の色目でした。
でも、それでも猩々の血を匂わせるような妖艶な
色目の片鱗は見せてくれました。
ラックをはじめとしたこのカイガラムシ系の赤って
本当に独特なんですよね。
単品だと寒々しいピンクなので個人的には
あまり好きではないのですが、
他の色と混ぜると、その寒々しいまでの赤が
とても妖しく映えてくれます。
今回はこのラック、ブータン産のものを
お客様のご好意で使わせていただくことができましたが
こちらでもとても良質なものが手に入れることができます。
独自のルートでネパールからいろんな染料や糸なんかを
手に入れてらっしゃるおはるさんのサイトです。
ウチもお世話になってます。
またおはるさんからラック分けてもらって猩々緋に挑戦してみます!