tezomeya ブログ
高僧と袈裟展
22日に京都国立博物館に行ってきた。
特別展覧会「高僧と袈裟」
なんとも地味そうな展覧だけど、
これはすごい楽しみにしてたやつ。
会期終了ギリギリ前にやっといけた。
いや、まだちょっと忙しいんです、はい。
いやはやびっくりした。
すごい裂がたくさんたくさんありました。
袈裟って、仏門に入ったもののトレードマーク。
そもそもは、自分とこの弟子が一目でわかるように
御釈迦さんが作らせた仏教のユニフォームなんだって。
そのデザインも、田んぼの田とあぜ道から
ヒントを得て作ったらしい。
まぁ、たしかにね。そんな風に見えます。
で、この袈裟って、代々弟子やその寺に受け継がれて
行くものらしくて、僧が入滅しても袈裟は後生大事に
保管されているものなんだそうです。
だから、すごいひとが着てた袈裟が今でもちゃんと
残ってる。
例えば、最澄が着てた袈裟。
中々お洒落でした。ランダムなマルチカラー部分を
田相(でんそう)って言うんだけど、これが
多色に染めた麻のワタを刺し子でつなぎ合わせてる。
手間かかってるよなぁ。
しかも、これ最澄が作らせたんじゃなくて、
彼が中国で勉強してたときの大師さんから
譲り受けたものらしい。
ちゃんと、そういった記述が別の文書に残ってる
らしいんだよね。
最澄って、今から1200年前のひとだよ。
そんなひとがきてたものがちゃんと延暦寺に
今でも目録めいたものと一緒に残ってる。
お寺って、すごいな。
もひとつはこれ。
道元の袈裟。
鎌倉時代初期だから、今から800年前のもの。
これがね、すごい深い藍染めでした。
で、むちゃくちゃ状態がいい。
とても800年前とは思えなかった。
古文書によると、この袈裟は道元に帰依する
女子がテマヒマかけて染め織った布を、その
心に打たれて道元自ら手縫いしたものらしい。
その証拠に、ちょっと縫いが下手なんだって(笑)。
下手っていうか、適当に作ってるところがあるらしい。
袈裟って、縫い方や生地の合わせ方に
すんごい細かい規律があるらしいんだけど、
それを少しアウトローに破ってるんだって。
そのあたりが道元らしいんだそうです。
これね、画像じゃ全然わからないんだけど、
実物をよくよく見ると
ところどころキレイに補修してた。
破れたり、生地がすれたりしたところを
代々お寺の人が直してきれいにして保管
してたとのこと。
袈裟って、もう、ただの法衣じゃないんだよね。
その持ち主の僧の魂が宿った相伝宝物なんですね。
生地としてはだいたいが麻や絹。
染めは、ほとんどがたぶん
ミロバランっていうインド原産の
植物やそれに順ずるベージュに染まる植物染料で、
他は藍や茜、刈安、たまに紫根。
色や布地のバリエーションやその美しさでいうと、
正倉院や法隆寺宝物に残ってるモノのほうが
素晴しいんだろうと思うんだけど、
古文書と一緒にキレイにキレイに何十世代にも
受け継がれて残ってきたその重みがどっしりと
布にこもった、すごい逸品ばかりだった。
裂ってほんとすごい。
またやらないかな、袈裟展。
でも、
国立博物館の肝いりイベントとは
思えないほど空き空きだったのが
気にかかったんだけど・・。
また期待してます、京都国立博物館さん!