tezomeya ブログ
貝紫染めワークショップ
4月30日、4月最後の土曜日は久方ぶりのワークショップ。
「伝統色のワークショップ2011 第二回」でした。
今回は貝紫染め。
去年の9月に企画しながら、天候不順のため泣く泣く中止したあのいわく付きのイベントです。
貝紫染めは、アカニシという近海で取れる巻貝の内臓の一部を使って紫色に染めます。
貝を使う、という点でも十分天然染料の中でもかなりの変わり種なのですが、その染め方もとても独特で、必ず必要なのが強い強い日光なんです。
なので、とても天候に左右される染めでして、天候不順のため中止、というのがありうる甚だ無責任なワークショップでした。
当日は晴天とはいかないまでも、なんとか雲間から太陽が時折覘くお天気。黄砂のためかどんよりはしていましたが作業はできるだろうと判断し、早速1時からワークショップ開始です。
まずはストックしていた貝の内臓を一か所に集めます。
はい、すみません、かなりグロテスクです。
ところどころ紫に見えたり黄色に見えたりする部分がありますよね。これが染料になるところ。パープル腺と言います。
この貝の内臓、広島の魚中寿司さんというところからわざわざ分けて頂いております。魚中寿司さん、本当にありがとうございます!
この内臓をミキサーで砕いて、内臓ジュースを作ります。
で、できた内臓ジュースを少しずつ洗面器に移して日光に当てるべく外に持ち出します。
なんか濁った黄色~黄緑色ですよね。
これが、日光に当たることで紫にどんどん変わっていくんです!
日光が当たったところだけ紫になる、すなわち液の表面だけ紫になるので、まめにかきまぜて液全体が暗い色になるまで発色させます。
で、3時間ほど頑張ったのが、これ。
ホントはもっと紫になっていないといけないんですよ・・
例えば、この洗面器の上の部分の紫色くらいまで。
でも、この日は日光があまり強くなかったためくすんだ青緑あたりなで変わったところで時間ぎれのため発色工程は終了。
ま、何とか染まってくれるでしょう、ということで。
で、部屋に戻って、紫色になった内臓ジュースを不織布に移して、染料ダネとします。
それを、鍋に入れて水増しさせて染液とします。
で、これを火にかけて、
・炭酸カリウム
・ハイドロサルファイト
を投入して、還元させます。
そして、画像がないですが、ここに
染めるアイテムのストールたちを入れて
かきまぜながら少しずつ温度を上げていきます。
すると、どす青暗い色だったのがくすんだ緑に変わり、
それが少しずつ明るい緑に変わってきて、
沸騰してきたころにはこんな黄色になってきます!
これは、一度酸化された貝紫の色素が再度還元されているから。そうしないと素材に染着してくれないんですよ。
で、沸騰させながら十分色素を染着させたら火を止めて、おもむろに鍋から染めアイテムを引き上げます。
この時はまだいろが薄い黄色なんですが、
引き上げた布を広げて空気に充てると、ほら!
紫にどんどん色が変わっていくんですよ!!
ほらほら、他のストールたちもどんどん紫に!
一度還元されて布地に染まった貝紫の染料が、空気中の酸素に触れて酸化されて元の紫色に戻っていくんです。
ざっと説明したんですけど、この染めのメカニズムは藍染と大体同じ。この貝紫染めも酸化と還元を駆使した染め方なんです。
今は効率を考えて還元剤を使っちゃいますけど、昔はこれ、発酵させてたんですよ。
ただでさえクサい貝紫なのに、それを発酵させてたなんて、どんなにおいがしたんだろう・・・。
画像からは全然わかりませんが、このあいだ終始貝紫独特のアノニオイがずっと部屋中に充満していました。
途中お店にいらしたお客様も、おかしな顔をしておられて説明すると皆さん恐る恐る見学に。臭いはひどいけど色は綺麗なので、発色の際に立ち会われた
方たちからは一同「おー!綺麗!!」の声が。
そうやって、糸や帯揚げやストールが綺麗な紫に染まりました。
やはり思ったよりちょっと薄めでしたけど、
しっかり紫に発色しました!!
やっぱりこの色は貝紫からじゃないと出ない色だ、うん。
また魚中寿司さんからアカニシの内臓が手に入って季節が良い時期だったら、是非ワークショップしたいと思います!!
タイミングが良ければ普通の染め体験教室でも体験可能です。もしご希望のかたは一度一声かけてみてくださいね。
次回の伝統食のワークショップは緑染めの予定です。
こうご期待!!