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正倉院展に行ってきました。

毎回「なんじゃこりゃ」と驚かされる展示品がそこかしこのコレクションを目にするのだが、今回も鳥肌モンが多かったです。

今回まず特に充実していたのが伎楽に関連する展示品。崑崙をはじめお面だけで3面ありました。
これは崑崙。

動物がモチーフのお面でどうも女性を追っかけまわして力士に懲らしめられるというやられ系キャラらしいのだが、そこそこ怖い顔をしておられまして、馬の毛を使ったらしいひげなんぞがしっかり残ってます。

これは酔胡従。

酔っ払った赤ら顔を模した顔つきとのこと、この表情に少し萌えてしまいました。

他にも伎楽につかう靴下(しとうず)や下着などもありました。しとうずは真っ赤。何で染めたのか・・・。茜だけの色ではないし、たぶん臙脂虫(ラックダイ)だと思うのだが、媒染がわからない。びっくりするような絳です。

鳥毛立女の屏風はすごい人だかりでパスしましたが、これをあきらめたことで他の展示品をゆっくり見ることができました。

例えば聖武天皇が大仏開眼法会の際に履いたのではないかという靴。

とてもきれいな赤に染めた牛革を外に、内は白に染めた鹿革。反りあがったデザインが何とも大陸的で面白いです。そして、反りあがった部分に張られているのも白にそめた鹿革。しかし、内側が経年変化でかなり黄ばんでいるにもかかわらずこちらの反り上がりの白は1200年以上たった今もしっかり白色。おそらく胡粉などの顔料なんだろうか。
しかしこの時代の革なめしは当然タンニンだったわけで、経年の酸化で内側の鹿革のようにどんなに頑張っても茶変してしまうだろうに、なぜここまで白なのかがわからない・・・。胡粉の厚塗り?わからん。すごいなぁ。

また、今年は武具も多く展示されてました。
弓、矢、刀など東大寺所有だったらしいものがいくつも出ていたけど、個人的に目を引いたのが手鉾(画像ないです)。
シンプルな長めの柄には麻糸を巻いた上にしっかりと黒漆。刀部分はいびつにも美しく曲がった形。これがとてもきれいでした。
命を確実に殺めるための道具なのだろうけど、道具の持つ目的を完遂するために、極めてシンプルに機能的にできているそのさまが時代に関係なく美しい。心中は複雑でしたが。

他にも、やはり武器では黄金の金具が使われている刀や寄木つくりの「檳榔木画箱」、最後にあった白瑠璃の水差しなどがとても美しかったです。古文書も、天平時代の染司の食費などがわかったりして勉強になりました。

11月12日まで開催中です。毎回言ってますが、ほんとお勧めです。
まだ行かれたことが無い方は是非!

正倉院展のサイトはこちら

※展示品の画像はサイトから引っ張っています。すみません。展示会場内は撮影禁止です。

手染メ屋
https://www.tezomeya.com/

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