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カンボジアの染織取材その2 ~シェムリアップのアルチザンアンコール

カンボジアの染織取材その2 ~シェムリアップのアルチザンアンコール

 

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6月の後半に訪れたカンボジア。主に滞在した地域はシェムリアップ、コンポンチャム、モンドルキリ地方、そしてプノンペンでした。

それぞれの地域で、いくつもの染め織りの現場を拝見させて頂きました。
今回はそのうちのひとつ、Artizans Angkor(アルチザンアンコール)に訪問した際のお話を画像と共に紹介します。

アルチザンアンコールはシェムリアップにある工芸品の工房です。
1970年代から長々と続いた紛争によってすべてを失ってしまった現地の人々、特に農村地区の若者たちへの職業支援として、カンボジアの内紛がひと段落し始めた1990年代からフランスが主体になりスタートした活動が、このアルチザンアンコールの始まりです。
木工、石彫、金工、陶芸、そして染織など工芸品を作るための様々な技術を獲得するための教育システムを構築し、そこのカリキュラムを終えた職人が工芸品を作っている作業場を見学し、そして実際に作られた工芸品を工房併設の立派なショップで購入できる、という製造販売一体型の工房です。

こんな感じで、広い敷地に石彫、金工などそれぞれの工房スペースがあり、訪れた人はお好きなところを好きなだけ見学することが可能です。

アンコールワットが近くにあるため、やはり石彫には多くの職人さんが作業をしておられました。
こんなに近く、かぶりつきで作業を見ることができます。

石彫は多くの作品が、アンコールワットをはじめとした伝統的な石彫品の復元のようです。ただ、その超絶な石彫技術は途絶えて久しいため、実際の技術は現代の西欧のもののようです。

 

他にも、木工や金箔貼り、金工もありました。

 

こちらはアルチザンアンコールを支援している現在の企業さんたち。
みたことのある企業マークが結構ありました。日本のイオンも支援者さんのようです。

 

さて、お目当ての染め織りです。染織工房だけは車で30分ほど離れた場所にあります。養蚕から手織まで全てこなしている工房のため、他の工芸品目に比べて広いスペースが必要なのでしょう。市内の工房から無料送迎バスで連れて行ってもらえます。

先ずは養蚕です。この地域のゴールデンシルクのお蚕さん。細かくちぎられた桑の葉を食べています。

 

出来上がった繭を天日に干していました。日本では蒸して殺してしまいますが、こちらでは南国の日光でサナギが孵化しないようにしているようです。

 

次は糸作りです。旨い具合に糸を引くところを動画でとることができました。こちらです。

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先ほどの動画は繭の外側の粗く太いフィラメントから糸を引いている作業ですが、こちらは、外側の粗いフィラメントを取り終えて繭の内側の細いフィラメントから糸を引いている作業です。こちらの方が、細くきれいな糸が出来ているのがわかるかと思います。

IMG_8155_sm

 

こちらは絣用の括り作業をしていました。

 

経糸整経は西欧の技術を取り入れてドラム整経で行っていました。ドラム整経が出来るように、ワインダー(整経糸用に糸を巻きなおす器械)もしっかり働いていました。

 

糸引きから経糸整経までを行うスペースでは、天上を見ると絶えず水蒸気が出ていました。雨季のこの季節でも絹糸扱いには更に高い湿度が必要なのでしょうね。

 

そして染め場です。

 

天然染料を使って染めているという紹介されていましたが、この時見学していた染作業はみたところ化学染料のようでした。染糸を見ても、天然染料と化学染料の併用だろうと思います。

 

こちらは織り場。この女性は2色使いの横絣を織っていました。

 

こんな感じの織機が何十台も並んでいました。

 

そして、完成した作品がショップに並びます。

 

アルチザンアンコールの職人さんは皆見学馴れされていて、ニコニコしながら作業をして下さっています。
皆さん、工芸チームごとにそろいのTシャツを着て、せっせとおのおのの作業にいそしんでおられました。特に染織は様々な段階の作業の積み重ねです。整然とチームワークで作業されている、といった風情を感じました。

そのスタイルや出来上がる作品の狙いどころなどはIKTTさんとは違いますが、これだけ多くの人々に技術と職の機会を提供している、という点では本当に素晴らしいな、と思いました。

 

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